十薬

 優れた民間薬とは何だろうか。その条件は、,修寮鍵蘆呂帽圓と誰でも知っているようなものである。古くから同じ目的に使い続けられていること。F韻犬發里△襪い藁犹のものが地域や民族、宗教などを越えて同じ使い方をされていることの三つである。一つでもこの条件に該当するものはかなり信頼性があり、二つ以上当てはまるものは疑いなく良い薬草である。どれにも該当しないものは多分役には立たない。

[十薬]

ドクダミ

ドクダミ

Houttuynia cordata

Thunb. (ドクダミ科)

十薬(奈良県産)

十薬(奈良県産)

 科学万能の21世紀になっても薬局の店頭から消え去らないセンブリ、ドクダミ、ゲンノショウコは見事にこれらの条件に合致し、しかも、日本のものがもっとも優れた効果を示している。

 植物名ドクダミの名の語源は「毒を矯(た)める」という説と「毒にも痛みにも」効くからという二つの説がある。また、生薬名の十薬は重薬とも書き、十種の薬能があるとか、重要な薬だからというが、中国では蕺菜と呼び、蕺の字が難しいので同音の重から十へと簡略化されたと考える方が自然であろう。中国では日常的な野菜の扱いで、畑で栽培され、八百屋で販売されている。ゆでたり炒めたものにはあの臭みは全くない。

 生の植物にはデカノイルアセトアルデヒドとかラウリルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒドが含まれるため、強いアルデヒド臭、いわゆるドクダミ臭があって嫌われるが、殺菌作用が強く、民間薬として葉を貼りつけたり、丸めたものを差し込んで使う水虫や蓄膿、中耳炎などへの応用はこの匂いが無ければ効果は期待できない。

 乾燥した生薬の十薬にもドクダミ臭はない。民間薬としては毒下しと一括されるが、弱い瀉下作用があり、慢性便秘に伴うニキビその他の慢性皮膚疾患に茶剤として連用することが有効といわれる。また利尿、消炎の作用も認められ、各種の浮腫や皮膚症状に応用される。乾燥葉の成分としてクエルセチン、クエルシトリン、花にイソクエルシトリンというフラボノイド化合物が含まれ、水性エキスには各種の浮腫に対する改善効果が証明され、皮膚の保水効果、抗アレルギーの効果も報告されている。クエルシトリンには抗ウイルス作用や毛細血管脆弱性の強化、糖尿性白内障阻止、各種の浮腫抑制などの作用が認められ、4-Nヒドロキシスチリルベンザミドという化合物には血小板凝集能抑制作用が認められている。

 配合される漢方薬では五物解毒湯がかゆみや湿疹に応用されている。薬能は文字通り十指に余る。

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