小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
小青竜湯合麻杏甘石湯(しょうせいりゅうとうごうまきょうかんせきとう)

くしゃみ

中国の神話に出てくる四神のひとつで、東方を守る青竜(せいりゅう)から名付けられたのが、小青竜湯です。青竜の青は主薬である麻黄(まおう)の色からきています。傷寒論(しょうかんろん)、金匱要略(きんきようりゃく)という漢方の古典に紹介され、竜とは関係の深い「水」による病症に用いるものです。

 

小青竜湯は、8種類の生薬からなり、風邪薬としてよく知られた葛根湯(かっこんとう)と同じく、麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)が中心となって、からだを温め寒けをとり、風邪を発散する漢方薬です。その上、細辛(さいしん)、乾姜(かんきょう)、五味子(ごみし)、半夏(はんげ)などの生薬の配合により、冷えたからだに溜まった水分を取り除く作用が加味されています。それゆえ、かぜの炎症が鼻やノドに出たり、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙を訴える花粉症(アレルギー性鼻炎)、サラサラとした薄い痰がでる気管支炎、咳発作が激しい気管支喘息などの治療を得意とした処方なのです。

 

また、漢方の専門家ではこのような病態が若干長引いて、炎症症状が強くなった時に、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)を合わせて切れ味のよい処方(小青竜湯合麻杏甘石湯、またこの処方は小青竜湯加杏仁石膏ともいう)をつくりました。炎症が激しい時のほか、寝入りばな、就寝中に体が温まった時に出る咳にもよく使われています。小青竜湯で効を奏さない時には、ぜひお試しいただきたい漢方処方です。

 

小青竜湯は花粉症のファーストチョイスでもあります。その原因の筆頭は、春に飛散するスギ花粉です。春は寒かった冬の後にやって来るので、まだ体に冷えが残っています。小青竜湯だけでも冷えを温めますが、これで充分温まらない時には麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を合わせて温める力を強化した処方(小青竜湯合麻黄附子細辛湯、またはこの処方は小青竜湯加附子ともいう)を用います。一方、暑い夏の後にやって来る秋の鼻炎では、体に熱が残っているので、上記した小青竜湯加杏仁石膏を応用します。鼻炎薬の春秋の使い分けです。

冷えは水毒(水分代謝障害)のもと

小青竜湯は、かぜ(特に鼻かぜ)、気管支炎、喘息や近年ますます増えている花粉症(アレルギー性鼻炎)などに幅広く応用されています。これらの疾患の共通ポイントは水余りによる炎症と寒証(冷え)といえるでしょう。

ノドにおける痰、鼻における鼻水はサラサラしてうすく、量も結構多いのが特徴です。また、自覚症状として寒けを訴える傾向にあります。からだの冷えにより、溜まった水分(水毒)はいつまでも抜けなくて、痰や鼻水のもとになっています。したがって、こういうタイプの咳、気管支炎、喘息、鼻炎には、食生活の上で水分を取り過ぎないこと、たとえ取り過ぎたとしてもてもその水分を発散できる体質にしておくこ とが大切になります。

 

現代の日本人は、子供から大人まで水分を取りすぎる傾向にあります。こどもはジュースや清涼飲料水などを飲み放題、大人はビールや缶コーヒーなどでからだは常に水浸し状態です。さらに、食後には果物や生野菜をたくさんとっています。これらの食品にも目に見えない水分が隠されています。

どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか

一般に冷えは末梢の血液循環を悪くして、腰や肩、筋肉にこりや痛みを生じやすくします。また、呼吸器においては、ノドや鼻のトラブルの種です。秋口は残暑の影響で、まだ冷えは朝晩だけで程度は軽いですが、秋も深まってくると冷えも厳しくなり、呼吸器の弱い方は注意が必要です。

したがって、小青竜湯のタイプでは、秋の乾燥よりも冷えに気配りが必要となります。特に冷えの元になる水毒を助長する食べ物を控えましょう。からだを冷やす食べ物や水分を取り過ぎていると、鼻炎や咳・痰の病気にかかりやすくなります。からだを温める根菜類などの食べ物を日常の食事に取り入れましょう。また、甘いものも要注意です(体の粘膜に水をため鼻炎や咳の元)。これを守らないと、症状がいつまでも続き、一旦よくなったように見えても、何かあるとすぐに再発しやすくなってきます。

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