苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

めまいや立ちくらみ

苓桂朮甘湯は、「傷寒論(しょうかんろん)」という中国の古い書物に記載されている漢方薬です。茯苓(ぶくりょう)、桂皮(けいひ)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)という4種類の薬草からなり、各薬草から漢字を一文字ずつとって苓桂朮甘湯と名付けられました。苓桂朮甘湯に含まれる4つの薬草のうち、茯苓と白朮は尿量を増加させ、めまいや耳鳴りの原因となる水の滞りを取り除きます。白朮には消化吸収機能を助ける作用などもあり、甘草と一緒に働いて、体の気(エネルギー)を補うような働きもします。桂皮は体をあたため、冷えを改善する薬草です。苓桂朮甘湯は、体内の水の滞りを改善する、体が虚弱な方のための漢方薬ということができるでしょう。

 

苓桂朮甘湯の適している方は、平素から体が弱くて低血圧や冷え症などがあり、前述した水滞の症状があるような方です。消化吸収機能が低下している方もおられます。天井がぐるぐると回るような回転性めまいや、船に乗って揺れているようなめまいにも効果があります。また、朝礼などでずっと立っている時に倒れてしまいやすい起立性低血圧の方にも適しています。

一般的に苓桂朮甘湯は、夜はいつまでも起きているが朝なかなか起きられないタイプ(梟のように夜行性なのでフクロウ型とも言います)で、体に元気が足りない方に適しています。夜型人間は現代の若者に多く、フリーターやニートなどの社会現象を生んでいるのも案外この辺に原因があるのではないでしょうか。

めまいや立ちくらみの原因はさまざま

朝起きようとする時、夜寝る前、立った状態が続いている時などに現れやすいのがめまいの症状です。めまいの原因や症状にはいろいろな種類があり、また春に悪化しやすいという特徴もあります。めまいは女性に多い症状ですが、男性でも悩んでいる方は多いようです。また、めまいと同じ原因で起こる症状には耳鳴りもあります。耳鳴りは現代医学でも治療が難しい病気のひとつです。

 

めまいの原因にはいろいろなものがあります。漢方の考え方では、体に余った水分や、自律神経の失調により発生した体の中の熱などが、めまいの原因になると考えています。この中でもよく見られるのが、体に余った水分によるめまいです。天井がぐるぐると回っているような感じがする回転性めまいや、船に乗って左右に揺れているようなめまいが起こったりします。

 

体に水分が余った状態は、漢方の言葉で水毒(すいどく)や水滞(すいたい)と呼ばれています。水の流れが滞り、体が水分に毒されているというような意味です。水毒の状態では口やノドが渇いて水分を多くとってしまうが、尿の量は増えず、手や足がむくみがちになるという特徴があります。

この余った水分が頭や耳のまわりに集まって来た時に、めまいや耳鳴りが起こると漢方では考えているのです。頭部で水分が滞った場合には頭痛が起こることもあります。このときの頭痛は、おでこの上のあたりが痛くなったり、きつい帽子で頭をぎゅうぎゅうと締められているような痛みが起こるのが特徴です。天候(高い湿度や雨)と関係することもあります。めまいの原因となる水毒を改善するのが苓桂朮甘湯です。

どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか

水滞では、口やノドが渇くために水などを多量に飲んでしまうが、尿量は増加しないという症状が起こりやすくなります。そのような時、欲求にまかせて水分をとり過ぎると、さらに体に水をため込む原因となってしまいます。冷たいものは口当たりがよく、つい飲みすぎてしまうのです。その上からだを冷やして、余計に体に水がたまりやすい状態をつくります。ノドが渇いた時には冷たい飲み物をとらずに、温かい物を少しずつ飲むようにしましょう。漢方では胃腸機能が体内の水分量を調節していると考えています。実際のところ、食後などに胃の中に水がたまりポチャポチャという音を自覚される胃腸虚弱な方も少なくありません。したがって胃腸にあまり負担をかけないことも大切です。胃腸は主に消化吸収などをつかさどっている器官なので、食べ過ぎがあると負担をかけることになります。また、思い悩んだりすることも胃腸を傷つける原因となります。胃腸にやさしい消化のよいものを食べ、クヨクヨと思い悩まずに明るく過ごすことも、めまいや耳鳴りの改善につながるでしょう。

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