防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

関節痛

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は汗かきで、関節が腫れたり、足がむくんだりする方の漢方薬です。このような訴えは太っている方に多く、自分の体重が下半身に負担を掛けています。また、その肥満もブヨブヨとした水太りというのが特徴です。この水太りは脂肪太りタイプと違って、大食していないのに太ってしまったという方です。さらにダイエットを熱心に行っているが、全くやせない方です。脂肪ではなく、体内の水分代謝がうまくいかず、余分な水をためて太ると解釈されています。結局、基礎代謝が悪くて、冷え症の女性に多いトラブルです。

 

この処方名にある防已(ぼうい)と黄耆(おうぎ)というのは、処方を構成する6種類の生薬の主薬です。防已黄耆湯は、2つの主薬の名をとって付けられました。「金匱要略(きんきようりゃく)」という漢方の古典に紹介されています。

水毒(すいどく、湿邪と同じ)タイプの方では、水をたくさん飲んでも尿量が増加せず、体にためこんでしまいやすい傾向があります。この水分が関節痛などのさまざまな不調の原因となりますが、防已は利尿を促進して、関節や体に溜まった余分な水を尿として排泄し、この原因を取り除きます。

 

また、水毒の方では、むくんだり、逆に汗が出すぎるといった方もあります。これは胃腸機能の低下などから、体内の水分分布がうまくコントロールできなくなったために起こる症状です。防已黄耆湯のもう一つの主薬である黄耆は、胃腸機能を高め、異常発汗しないように皮膚を強化する働きがあります。

防已黄耆湯は、利尿や異常発汗を是正して体内の水分バランスを整えることにより、関節痛やむくみなどの原因となる水毒を改善する漢方薬です。

水毒は関節以外にもたまる

変化に富んだ日本の四季。梅雨から夏にかけては湿気が多くて蒸し暑い季節です。湿度が高いとその分、体に余分な水分がたまりやすくなります。この状態を漢方では「水毒」と言い、湿度の高い国土に生きる日本人には水毒の人が多いと言われています。水毒の状態では、浮腫をはじめとして、頭痛、食欲不振、めまいなどの症状が現れやすくなります。

 

関節への症状としては、痛みや重だるさなどがあり、関節に水がたまる場合もあります。またこれらの症状は、湿度の高い季節や天候、また飲食物によって重くなったり軽くなったりするという特徴があります。

どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか

暑い夏が来る前に、かならず梅雨があります。スポーツ選手でヒザや腰に古傷を持つ人は梅雨が苦手だそうです。梅雨の湿邪(病気の原因となる湿気)が、ヒザや腰に滞って動かないからです。これが夏になると暑さにより、体内(特に関節など)の水が汗として出て行ってくれます。そうすると、ヒザや腰の痛みがなくなり、選手は本調子になるのです。

 

スポーツ選手だけでなく、普段からヒザや腰の調子が悪い人にとっても梅雨はイヤな季節です。スポーツ選手は上手に汗をかく方法を知っていますが、運動をする習慣がなくて汗をかく機会のない方、ヒザや腰の痛みで体を動かせない方は困ってしまいます。またこのような関節痛を起こす水毒の方は、もともと体に水分をためこみやすい体質なので、少しのことでは水分を追い出すことは難しいのです。

 

基礎体力のない人、冷え症の人、水太りの人は湿気の多い梅雨の間は、水分の取りすぎに注意しましょう。特に清涼飲料、ビールや生野菜、果物などはこの時期冷たくして食べることが多いので気を付けてください。また、暑い夏にはこのようなタイプの方は体を動かすことを億劫がりますので、汗を流して体温を下げることができません。したがって、冷房の温度をすこし高めに設定しておいて、冷えすぎないように心がけるようにしましょう。

 

関節痛の悪化の原因は、筋力の低下なども挙げられます。痛みなどで運動を行いにくい方でも日常生活のひと工夫で筋力を保つこともできます。無理のない範囲で歩く、階段を使うなども効果的です。イスに座ってヒザの上げ下げなどを行うのも適度な筋力トレーニングになります。可能なようであれば足におもりなどの負荷をかけ、訓練するのも良いでしょう。

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