防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

シェイプアップ

せわしない春が過ぎ梅雨が明けるとあっという間に夏が訪れます。女性のなかには薄着になる夏に向けて、これからシェイプアップに励む方がいらっしゃるのではないでしょうか。女性に限らず男性でもメタボリックシンドロームという言葉が気になる方は、そろそろ運動計画を立てる必要があるかと思います。もともと人間は食べ物が手に入りにくかった寒い冬に身体を太らせることで、エネルギーを蓄えてきました。したがって今もその名残があり、冬は太りやすい体質に変化します。しかし、現代の日本では年中美味しい食材が揃い、食べたい物を好きなだけ食べられるので、身体に栄養を蓄え過ぎてしまいます。春には太り過ぎて悩みだす方が周りにいるはずです。食に恵まれた日本では、欧米なみに肥満も目立ち、それとともにいろいろなダイエット法が開発されてきました。間違った方法でダイエットをすると体調をこわすこともしばしばあります。運動を嫌がり食事制限ばかりをしていると身体に必要な栄養素までも不足し、結局は肌荒れや便秘などでダイエットをあきらめざるを得なくなることもあるのです。少し早めに起床し、清々しい青空の下で軽くジョギングされるなどいかがでしょうか。これに漢方を摂り入れることで、目立ち始めていたお腹まわりも早くスッキリするようになります。

 

防風通聖散の処方名には、主薬である防風(ぼうふう)という薬草が含まれていることから名付けられました。また、通聖(つうしょう)には聖人(優れた人)という意味があり、防風が主薬になった優れた薬という意味が込められています。防風通聖散は18種類の薬草から構成されています。大きく5つのグループに分かれます。まず、

  1. )鰭(ぼうふう)・荊芥(けいがい)・麻黄(まおう)・薄荷(はっか)・連翹(れんぎょう)、生姜(しょうきょう)のグループは発汗させて余分な体熱を放散させ、
  2. ∋額藥辧覆気鵑靴掘法Σ芩(おうごん)・石膏(せっこう)・桔梗(ききょう)のグループは体の炎症や余分な体熱をとり、
  3. E帰(とうき)・川芎(せんきゅう)・芍薬(しゃくやく)のグループは血行を促進して新陳代謝を促進します。さらに、
  4. で鰮押覆咾磴じゅつ)・滑石(かっせき)のグループは利尿を促進し余熱を冷まし、
  5. ヂ膕(だいおう)・芒硝(ぼうしょう)・甘草(かんぞう)のグループは調胃承気湯(ちょういじょうきとう)という処方で、便通を改善し余熱をとります。

これらの薬草の働きからわかるように、からだの熱(暴飲暴食などにより余ったエネルギー)を取り除くという共通の働きで、のぼせ、ほてりなどの熱証を改善するのです。つまり体内に詰まったものを除去して、通りを良好にし、その結果、身体が軽くなった状態をもたらしてくれます。

お腹まわりの脂肪が気になる方に

仕事帰りに居酒屋へ…こんなサラリーマンの方は数多くいらっしゃいます。「昔はスッキリしていたお腹まわりがなぜこんなことに」と後悔されているお父さん方、それは食欲が旺盛でよく飲み、よく食べるからです。食べたエネルギーをそのときに使いきっていれば今も引き締まったお腹であったことでしょう。しかし今更後悔しても始まりません。身体に溜まった脂肪は漢方で「食毒(しょくどく)」といいます。この食毒を排除して肥満を改善するのが防風通聖散です。体内の熱、特に胃熱が旺盛であると胃腸の働きがよく、食欲が出ます。また、体内の熱が盛んなために腸管からの水分吸収がよく、便が硬くなり、便秘してしまいます。さらに体内の熱で尿の色も濃くなり、量は少なくなります。こういった方は顔の血色もよく、美食家が多いものです。つまり防風通聖散は顔色がよく、食欲が旺盛で口が渇き、よく飲みよく食べて、そのわりにはエネルギーの消費が少なくて、太ってしまう方に適応する処方となっています。

当然女性でも食欲が旺盛で、美食家タイプ、顔色がよく元気者のいわゆる脂肪太りでお腹まわりが気になる方にも使えます。これから夏に向けて「お腹まわりを絞りたい!」という方に合った漢方薬です。

どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか

効率的に体重減少をはかるためには、漢方薬の服用と同時に、運動療法と食事療法を忘れてはなりません。まず、運動療法の基本は歩くことです。1日1万歩を目標に毎日歩くように心掛けましょう。そうすると内臓脂肪がどんどん減ってきて、お腹まわりがスッキリし始めます。歩く時間がない方は、日常生活の中でなるべくこまめに体を動かし(掃除や洗濯などの家事でも結構)、1日1回は軽く汗をかくことです。

食事療法では、まず寝る前のドカ喰いを避けることです。寝る前でなくてもドカ喰いは脂肪細胞をどんどん肥満させてしまう原因のひとつといわれます。また、食事はゆっくりよく噛んで、楽しく、おいしく食べることです。早食いをすると満腹中枢が感知するまでに、たくさん食べ過ぎてしまいます。さらに、食べるときは温かい物から食べ始め、冷たい物は一番最後に食べましょう。温かい食べ物はからだの新陳代謝を高め、消費エネルギーを高めてくれるほか、冷たいものと違って一度にたくさん食べられません。食べて、少し汗ばむくらいが最適です。このように食事スタイルも考えてみてください。

最後に、「肥満は不満から」といいます。ストレスがあると、それが無意識のうちに食欲の亢進につながります。食べること以外でストレスを発散できる趣味などをもつことも大切です。

▲ このページのトップへ