通導散 (つうどうさん)


【処方コンセプト】食欲があって便秘し、生理不順や肥満が気になる方。

このタイプの方は、食欲が旺盛で便秘し、皮膚が暗紫色(あるいは青黒い)を呈し、一見元気そうにみえる。打撲をはじめ、瘀血を伴う循環器疾患、婦人科疾患、肥満症などの疾患に応用できる。

通導散適応症

◆ 漢方一貫堂医学の瘀血証の代表処方で、気滞・瘀血の熱証に用いる。

◆ 本来は、打撲、挫傷を目的につくられた処方である。打撲後の疼痛、腫れを治すが、これから応用して瘀血性疾患(循環器疾患、婦人科疾患)に応用されるようになった。

◆ 皮膚が暗紫色で頭痛、肩こり、生理痛などの瘀血の症候と、胸苦しい、お腹が張る、便秘などの気滞の症候を伴う。

◆ 食欲が旺盛で、肥満して、熱証タイプであって、なかなか痩せない方(女性に多い)に適している。

◆ メタボリックシンドローム(肥満、糖尿病、高血圧症)による循環器疾患などの生活習慣病には防風通聖散と合わせます。また、拡張期血圧が高い(100mmHg以上)高血圧症によい。

◆ 瘀血の程度が重症なものには、桃仁・牡丹皮を加えて用いる(エキス剤では通導散合桂枝茯苓丸で代用)。

【処方構成】10味

当帰(トウキ)・紅花(コウカ)・蘇木(ソボク)の活血化瘀薬は、血管拡張・血行促進・内出血の分解吸収により瘀血を改善する。子宮筋に対して、当帰は調整的に、紅花は収縮に、蘇木は弛緩に働き月経を調整する。枳実(キジツ)・厚朴(コウボク)・陳皮(チンピ)の理気薬は、消化管の蠕動を促進し、ガスを排出して膨満感を除き、血管運動神経を調節して活血化瘀薬を補佐する。大黄(ダイオウ)・芒硝(ボウショウ)・甘草(カンゾウ)は調胃承気湯で、瀉下通便に働き、木通(モクツウ)は利水に働く。

通導散生薬構成
補血 活血 瀉下 利水 補気 理気 解表 配合生薬数
地黄 当帰 芍薬 川芎 桃仁 牡丹皮 紅花 牛膝 益母草 延胡索 蘇木 大黄 芒硝 木通 茯苓 白朮 甘草 大棗 陳皮 烏薬 香附子 枳実 木香 厚朴 桂皮 乾姜
通導散 10
桃核承気湯 5
桂枝茯苓丸 5
芎帰調血飲
第一加減
21
処方名 類方鑑別
通導散 気滞血瘀を改善する代表処方。食欲があって便秘し、生理不順や肥満が気になる方に。
桃核承気湯 女性の便秘に効果を発揮する。生理前にイライラして、頂点に達し、強い精神不安を訴える。
桂枝茯苓丸 瘀血のファーストチョイス。軽い打撲でもうっ血しやすく、下腹部に痛みを訴える。アザやシミ、シモヤケにも。
芎帰調血飲第一加減 瘀血の虚証、寒証に用いる。瘀血を取り除きながら、補血する働きがある。


      

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