芍薬甘草湯 (しゃくやくかんぞうとう)


【処方コンセプト】からだの痛みに(内も外も)。

漢方の鎮痛剤。手足の骨格筋ばかりでなく、消化管などの平滑筋の痙攣による痛みにも用いられる。突然ふくらはぎが痙攣して激しく痛むこむら返りや、原因がハッキリしない胃痛や腹痛などの腹部の疝痛にも頓服的に応用され、即効性も期待できる。

芍薬甘草湯適応症

◆芍薬甘草湯は、「脚弱癒えて杖を捨てることができる」ことから、別名 去杖湯(キョジョウトウ)ともいわれる。

◆芍薬甘草湯は、虚実に関係なく用いられる鎮痙・鎮痛の基本処方で、多くの処方に組み込まれている。

◆長期連用する場合や患部に浮腫や水腫を伴う時には浮腫の悪化や血圧上昇、脱力感などに注意する。

◆痛みのファーストチョイスで、手足の疼痛、胆石や腎石の疝痛発作、胃腸痙攣、排尿痛などに応用されている。

【処方構成】2味

筋肉・腱の異常緊張を弛緩させる芍薬(シャクヤク)と、種々の急迫症状を緩和・弛緩させる甘草(カンゾウ)からなる。この2味により、筋の拘急・攣急を緩め、痛みを止める作用をもつ。証にかかわらず、広く鎮痛・鎮痙の目的で用いることができる。筋痙攣の原因が局所の循環不全によるもの、脊髄性あるいは末梢神経性のものにも有効である。

芍薬甘草湯生薬構成
解表 清熱 利水 補気 理気 駆瘀血 温補 その他 配合生薬数
桂皮 生姜 柴胡 防風 白芷 和羌活 威霊仙 黄芩 竜胆 茯苓 蒼朮 半夏 防已 甘草 大棗 膠飴 人参 陳皮 縮砂 延胡索 当帰 芍薬 川芎 地黄 桃仁 牡丹皮 良姜 附子 茴香 牡蠣
芍薬甘草湯 2
安中散 8
小建中湯 6
柴胡桂枝湯 9
疎経活血湯 17
 桂枝加朮附湯  7
処方名 類方鑑別
芍薬甘草湯 芍薬と甘草の組合せでこむら返りや腹痛、腰痛など、様々な痛みを緩和。
安中散 胃痛、腹痛は共通するが、冷たいものの飲み過ぎ食べ過ぎによるものや、胸やけなどによい。
小建中湯 痙攣性腹痛は共通するが、疲れやすく、冷えを訴えやすい傾向がある。
柴胡桂枝湯 胃痛、腹痛では共通するが、ストレスを受けると痛みが増強する。胸脇部の張りを訴えることも多い。
疎経活血湯 手足や腰の痛みでは共通するが、不摂生な食生活が続き、冷えや湿気がきっかけとなり、血の循環不良による痛みによい。
桂枝加朮附湯 筋肉の痛みでは共通するが、虚弱で冷え症の方が多く、各所の筋肉・関節などに起きる慢性の持続性疼痛によい。


      

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