芎帰調血飲第一加減 (きゅうきちょうけついんだいいちかげん)



【処方コンセプト】疲れやすくて、イライラして、手足が冷える方。

芎帰調血飲第一加減適応症



◆産前産後の漢方薬として、産前(妊娠中)には当帰芍薬散、産後(出産後)には芎帰調血飲第一加減がファーストチョイスになる。本方は産後の聖薬。


◆通導散(つうどうさん)とは表裏の関係にあり、どちらも気血のめぐりが悪いものに用いる。実証・熱証には通導散、虚証・冷えには本方を用いる。


◆産後には血脚気(足が立たないなど)、慢性関節リウマチ、気管支喘息をはじめ、いろいろな病気・症状が起きる。数年前の出産でも、産後に起きて瘀血(血の巡りが悪い状態)が原因と考えられる病気には用いてよい。


◆月経異常、子宮筋腫、子宮内膜症、更年期障害、血の道症など婦人科疾患にも広く応用される。また、頭痛、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴え、血の巡りが悪く冷えているタイプに広く用いられる。


◆血の巡りを改善する作用があることから、男女を問わず、虚血、うっ血などを伴う循環器疾患や下肢静脈瘤などに用いられる。

【処方構成】21味

本方は、21種ものたくさんの生薬から構成されていて、複雑に見えるが、増血しながら月経を整える四物湯をベースにして、血の巡りを改善する桃仁(トウニン)、紅花(コウカ)を加えた桃紅四物湯が基本になった処方。また、その補助として理気(気の巡りを改善)、健胃(胃を整える)、温裏(胃腸を温める)、温経(経絡を温める)、鎮痛などの働きの生薬を加えていったものと考えられる。

芎帰調血飲第一加減生薬構成

  補血 活血 瀉下 利水 補気 理気 解表 清熱 配合生薬数
地黄 当帰 芍薬 川芎 桃仁 牡丹皮 紅花 牛膝 益母草 延胡索 蘇木 大黄 芒硝 木通 沢瀉 茯苓 白朮 甘草 大棗 陳皮 烏薬 香附子 枳実 木香 厚朴 桂皮 生姜 柴胡 薄荷 山梔子
 芎帰調血飲第一加減                    21
 桂枝茯苓丸                                                    5
 加味逍遙散                                          10
 当帰芍薬散                                                  6
 通導散                                          10
処方名 類方鑑別
芎帰調血飲第一加減 気滞血瘀を改善する代表処方。疲れやすく、イライラして、手足が冷える方に。産後や術後の瘀血によい。
桂枝茯苓丸 瘀血のファーストチョイス。軽い打撲でもうっ血しやすく、下腹部に痛みを訴える。アザやシミ、シモヤケにも。
加味逍遙散 神経を使うために何となくイライラする。女性では生理が一定せず、生理前になると体調を崩す。
当帰芍薬散 冷え症の女性に。むくみやすく、生理不順のある方。痛みのない膀胱炎や産前の保健薬として。
通導散 瘀血の実証、熱証に用いる。便秘傾向の人に。


前のページへ       次のページへ

▲ このページのトップへ