荊芥連翹湯 (けいがいれんぎょうとう)



【処方コンセプト】皮膚・粘膜が過敏な方に。

熱によるもので、落ち着きがなく、ちくのう症(副鼻腔炎)、鼻炎などの慢性炎症やその体質改善に使う。また、ストレスを受けると、お肌の新陳代謝が悪くなり、大きく黒ずんだニキビや吹き出物ができやすい人にもよい。

荊芥連翹湯適応症

◆荊芥連翹湯は「漢方一貫堂医学」の森道伯の経験方で、解毒証体質に使用する処方である。解毒証体質とは、結核にかかりやすい体質と解釈されているが、現代でいうアレルギー体質に類似しており、花粉やハウスダストなどの外界からの刺激に反応しやすく、炎症を起こしやすい体質のことをいう。本方はこの体質を改善する。

◆皮膚や粘膜が過敏なために、慢性鼻炎やちくのう症(副鼻腔炎)、中耳炎、あるいはニキビなど、呼吸器系や皮膚に症状が出やすい体質を目標にする。また、解毒証の方は、神経も敏感でイライラして落ち着きがなく、皮膚の新陳代謝が悪く皮膚がカサついたり、炎症を繰り返すので、皮膚が浅黒くなるなどの特徴もある。

◆一貫堂の解毒証には、柴胡清肝湯、荊芥連翹湯、竜胆瀉肝湯の3つの処方が用意されている。それぞれの使い分けは、一般に下記のように部位別、年齢別に分類されることが多いが、証さえ取り違えることがなければ、特に固執することもない。

部位別
顔面部 胴体部 ヘソより下
荊芥連翹湯 柴胡清肝湯 竜胆瀉肝湯
年齢別
幼少期 青年期 成人期
柴胡清肝湯 荊芥連翹湯 竜胆瀉肝湯

◆臨床ではちくのう症(副鼻腔炎)、アレルギー性鼻炎などの慢性鼻炎、気管支ぜんそく、中耳炎、扁桃炎、リンパ腺炎、湿疹、ニキビ、アトピー性皮膚炎、神経症などに応用されている。

【処方構成】17味

本方は解毒を中心とした処方構成で、温清飲(四物湯+黄連解毒湯)がベースとなっている。黄連解毒湯で体内の熱毒を鎮め、四物湯で補血し、血熱と血虚を改善する。解表薬である防風(ボウフウ)・荊芥(ケイガイ)・薄荷(ハッカ)・白芷(ビャクシ)はカユミを抑え、特に皮膚症状の改善に効果がある。また、桔梗(キキョウ)と枳実(キジツ)には排膿作用があり、薄荷(ハッカ)と白芷で鼻の通りをよくする。理気薬である柴胡(サイコ)と枳実は気の巡りをよくし、柴胡と桔梗により諸薬の効能を体の上部に引き上げて症状を改善する。

荊芥連翹湯生薬構成
解表 清熱 駆瘀血 理気 利水 その他 配合生薬数
防風 荊芥 白芷 柴胡 薄荷 牛蒡子 蝉退 黄連 黄柏 黄芩 山梔子 連翹 石膏 竜胆 知母 苦参 当帰 芍薬 地黄 川芎 桔梗 枳実 蒼朮 沢瀉 木通 車前子 甘草 胡麻 括楼根
  荊芥連翹湯   17
  温清飲   8
  竜胆瀉肝湯   16
  消風散   13
  柴胡清肝湯   15
処方名 類方鑑別
荊芥連翹湯 皮膚が浅黒くて筋肉質で、温清飲に類似するが、さらに痒みが強い。頭部や顔に症状が出やすい
温清飲 四物湯と黄連解毒湯の合方。慢性炎症に。
竜胆瀉肝湯 主に下半身の炎症を中心に使う。尿の色が濃い、陰部瘙痒感に。
消風散 分泌物が多くベタベタしたり、熱をもって赤くなったり、全身に広がり、カユミが強い。
柴胡清肝湯 幼少期のアレルギー体質の改善に。熱をもった赤黒い湿疹が慢性的に胴体にできる。


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